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解体工事は重機を使って進めるのが一般的ですが、現場によっては重機を搬入できないケースがあります。前面道路が狭い、隣家との離隔が取れない、地下や屋内での作業になる、といった条件が重なると、重機に頼らない解体方法を検討する必要があります。
特にコンクリート構造物は強度が高いため、重機が入らない現場では「どう壊すか」以上に「どう切るか」が工事の成否を左右します。重機が入らない現場のコンクリート解体では、人力施工と切断工法を組み合わせた工法選定が重要です。
この記事では、重機が入らない現場の条件と代表的な解体工法、そしてカッター工事が有用とされる理由を整理して解説します。
重機が入らない現場とは、バックホウや圧砕機などの建設機械を搬入・稼働させられない現場を指します。機械そのものの大きさだけでなく、搬入経路、作業スペース、床の耐荷重、周辺への影響など複数の条件で判断されます。
「敷地内に重機を置けるか」だけで判断すると、搬入時に初めて施工不能が判明し、工期や費用に大きな影響が出ることがあります。着工前の現地調査で、経路全体を確認しておくことが欠かせません。
| 条件 | 具体例 |
|---|---|
| 道路・進入路の制約 | 前面道路の幅員が狭い、旗竿地、私道でトラックが進入できない |
| 敷地・離隔の制約 | 隣家や隣接建物との距離が近い、長屋や連棟建物、境界ぎわの構造物 |
| 建物内部での作業 | 屋内、地下ピット、機械室、地下駐車場、上階のスラブ解体 |
| 構造上の制約 | 床の積載荷重が不足し重機を載せられない、既存躯体を残す必要がある |
| 周辺環境の制約 | 交通量が多く道路占用が難しい、稼働中の店舗・工場・病院に隣接 |
重機が入らない現場では、人力作業と小型機械が中心になります。そのため、重機解体と比べて作業効率が下がり、工期が長くなりやすい点に注意が必要です。
費用面でも影響があります。人力による手壊し解体は、重機解体に比べて割高になる傾向があり、現場条件によっては数割程度の増額となるケースも報告されています。手作業の比率が高くなるほど、人工(にんく)が費用を左右します。
また、廃材の搬出も人力や小運搬に頼ることになるため、仮設計画や養生計画の重要度が上がります。重機が入らない現場では、解体そのものよりも「搬出」と「近隣配慮」が工程のボトルネックになりやすい点を押さえておきましょう。
重機を使わずにコンクリートを解体する方法には、破砕系と切断系があります。それぞれ得意な条件が異なるため、撤去範囲や周辺環境に応じて選定します。
| 工法 | 概要 | 向いている条件 |
|---|---|---|
| 手壊し解体 (ハンドブレーカー) |
電動・空圧工具でコンクリートを砕きながら撤去する | 小規模な基礎、土間、ブロック塀など |
| 静的破砕工法 | 削孔した穴に膨張材を充填し、時間をかけて割裂させる | 無振動・無騒音が求められる現場 |
| コアドリリング工法 | 円筒状の刃で削孔する。連続削孔で線状の切断も可能 | 配管貫通、削孔、切断の起点づくり |
| ウォールソーイング工法 | レールに沿って円盤刃を走らせ、壁や床を直線切断する | 壁・床の開口部新設、部分撤去 |
| ワイヤーソーイング工法 | ダイヤモンドワイヤーを巻き付け、回転させて切断する | 厚い構造物、複雑形状、遠隔操作が必要な狭所 |
なかでもワイヤーソーイング工法は、遠隔操作によって狭い場所でも切断でき、無振動・低騒音で粉じんの発生も抑えやすい工法として知られています。切断する対象物の形状や厚みの制約も受けにくく、重機が入らない現場との相性が良い工法です。
カッター工事とは、ダイヤモンドブレードやダイヤモンドワイヤーなどの専用刃を使い、コンクリートやアスファルトを切断する工法の総称です。壊すのではなく切るため、重機が入らない現場でも施工しやすいという特徴があります。
とくに最後の点は、狭所や屋内の現場では大きな利点になります。破砕して細かいガラにするのではなく、あらかじめ搬出可能な寸法に切り分けることで、人力搬出の負担と作業時間を抑えられます。
関連する工法の詳細は、コンクリートの部分解体の工法や構造体を残す解体工法のページでも解説しています。
搬入制約のある現場では、着工後に条件が判明すると計画変更が生じやすくなります。見積・工法選定の段階で、以下の項目を整理しておきましょう。
湿式のカッター工事では切断水が発生するため、処理方法を事前に決めておく必要があります。詳しくはカッター工事をした後の汚泥水処理の方法もあわせてご確認ください。
重機を使わない場合でも、解体工事に関する法令上の義務は変わりません。工法にかかわらず、以下の点を確認しておく必要があります。
高さ5m以上のコンクリート造の工作物の解体・破壊作業では、技能講習を修了したコンクリート造の工作物の解体等作業主任者を選任し、作業を指揮させることが求められます。
また、騒音・振動については、特定建設作業に関する規制や自治体の条例が適用されます。人力施工でも作業音は発生するため、周辺環境に応じた対策計画が必要です。
加えて、建築物の解体・改修工事では、石綿含有建材に関する事前調査が必要になる場合があります。古い建物では、解体範囲だけでなく法令面の確認も忘れずに行いましょう。
重機が入らない現場では、手壊し解体や静的破砕、カッター工事といった工法を組み合わせて施工します。重機解体に比べて工期・費用の負担は大きくなりやすいものの、工法選定と搬出計画を詰めることで、影響を抑えることは可能です。
コンクリート構造物を扱う場合、切断によって撤去範囲を正確に分けられるカッター工事は、狭所や屋内といった重機が入らない条件下で有効な選択肢になります。搬出しやすい寸法に切り分けられる点は、人力搬出が前提となる現場で特に大きなメリットです。
重機が入らない現場での解体をご検討の場合は、進入路や作業スペース、切断範囲などの現場条件を整理したうえで、カッター工事に対応できる専門業者へ相談しましょう。