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機械基礎の撤去工事とコンクリート切断

設備の更新やラインのレイアウト変更を計画すると、必ず出てくるのが既存の機械基礎をどう撤去するかという課題です。新しい設備を据え付けるには、古い基礎を撤去して床をフラットに戻さなければなりません。

ところが機械基礎の撤去は、建物ごと壊す解体工事とは条件がまったく異なります。残す床スラブや隣の設備を傷めず、工場を動かしたまま、限られた範囲だけを壊すという制約が同時にかかるためです。

この記事では、機械基礎の撤去が難しくなる理由、使われる工法の使い分け、工事の進め方、そして発注前に確認しておきたい点を整理して解説します。

機械基礎の撤去が「解体工事」と違う理由

機械基礎とは、プレス機やコンプレッサー、加工機、ポンプなどの設備を据え付けるために打設されたコンクリートの土台です。設備の自重と運転時の振動を地盤や床スラブへ確実に伝えるためのもので、内部にはアンカーボルトが埋め込まれ、据付時には無収縮モルタルによる二次充填が行われているのが一般的です。防振ゴムや防振架台を挟んだ防振基礎になっている場合もあります。

つまり機械基礎は、振動に耐えるために意図的に頑丈につくられた鉄筋コンクリートの塊です。設備の入替、生産ラインの再配置、工場の集約や設備売却など、撤去が必要になる場面は多いものの、いざ壊すとなると次の3つの条件が重なります。

床と一体か、縁が切れているかで難易度が変わる

撤去の難易度を最初に左右するのは、基礎が床スラブと一体で打設されているか、後打ちで縁が切れているかです。

後打ちで下が砕石であったり、スラブとの間に縁切りがある基礎は、コア抜きで噛み穴をつくって破砕したり、静的破砕で割ったうえでブロックごと撤去できます。一方でスラブと一体になっている基礎は、まず切断で縁を切らないと、はつり以外の選択肢が取れません。この見極めを事前調査で終えておくかどうかで、工期も費用も変わります。

稼働中の工場では騒音・振動そのものが制約になる

ブレーカー(さく岩機)による打撃解体は、騒音規制法・振動規制法の特定建設作業に該当する場合があります。該当すると、敷地境界で85デシベルを超えないこと、第一号区域では午後7時から翌午前7時まで作業できないこと、1日10時間以内、連続6日以内、日曜・休日は作業しないことといった基準がかかります。

加えて工場内では、法規制以前に隣で動いている精密機械や検査機器へ振動を伝えないことが求められます。打撃を伴わない切断系の工法が選ばれるのは、この2つの理由からです。

機械基礎の撤去に使われる工法

機械基礎の撤去は、ひとつの工法で完結することがほとんどありません。「縁を切る」「割る」「吊り出す」を組み合わせて計画するのが基本になります。

工法 機械基礎撤去での使いどころ
ウォールソーイング工法 レールを固定して基礎の側面を直線的に切断。床スラブとの縁切りや、基礎をブロックに分割する際の主力
ワイヤーソーイング工法 断面が大きい基礎や、機械が据え付けにくい狭い取り合い部の切断に対応。振動が小さい
コアードリリング工法 連続穿孔で切断線をつくる、破砕用の噛み穴を開ける、アンカーボルトを抜くための穿孔などに使用
バースター工法 穿孔した穴に膨張力をかけて静かに割る。無筋に近い基礎や、縁が切れている基礎の破砕に向く
フラットソーイング工法 床面と水平方向の切断。基礎の周囲で床を切り離す、床レベルで斫り取る範囲を区切る用途
ウォータージェット工法 鉄筋を残してコンクリートだけを除去したい場合に有効。既存鉄筋を活かして復旧する計画で使われる
ブレーカー(はつり) 床と一体で縁が切れず、切断機を入れる余地もない場合の最終手段。騒音・振動が大きい

鉄筋が入った基礎をハンドクラッシャーで噛み割る場合も、そのままでは表層の鉄筋が抵抗して進みません。先にウォールソーやカッターで表層側の鉄筋を切っておくことで、破砕作業が成立します。切断は「壊すための下ごしらえ」でもあるという考え方です。

建屋内で重機が使えない条件については重機が入らない現場の解体工事、範囲を限定して壊す考え方についてはコンクリートの部分解体の工法もあわせてご確認ください。

機械基礎撤去工事の進め方

実際の工事は、切断作業そのものよりも前後の段取りが工期を左右します。一般的な流れは次のとおりです。

発生したコンクリートがらは、産業廃棄物のがれき類として適正に運搬・処分する必要があります。湿式で切断した場合は切断水(汚泥水)も発生するため、処理方法を仮設計画の段階で決めておくことが欠かせません。詳しくはカッター工事をした後の汚泥水処理の方法、作業中の粉塵については解体工事の粉塵対策をご参照ください。

発注前に確認しておきたいこと

機械基礎の撤去は、設備工事の一部として発注されることが多く、範囲の線引きが曖昧なまま進むと現場で止まります。見積依頼の前に、次の点を整理しておくとスムーズです。

とくに最後の項目は、稼働中の工場では効いてきます。縁切りの切断から破砕、搬出、廃棄物処理までを同じ会社で完結できれば、停止時間を細かく刻んで工程を組めるためです。業者選定の考え方はコンクリートカッター工事の業者でも整理しています。

まとめ

機械基礎の撤去は、頑丈につくられた鉄筋コンクリートを、稼働中の工場という制約の中で、残す躯体を傷めずに壊す工事です。壊す力の大きさではなく、どこで縁を切り、どの大きさに分割して運び出すかという計画の精度が仕上がりと工期を決めます。

床スラブとの縁が切れているか、鉄筋がどう入っているか、どこまで復旧するのか。この3点を事前調査で押さえたうえで、切断・穿孔・破砕を組み合わせて計画できる業者に相談すると、停止時間を最小限に抑えた工程が組めます。

設備更新やレイアウト変更を控えている場合は、設備の据付計画と並行して基礎撤去の条件を整理し、コンクリート切断の実績がある専門業者へ早めに相談しましょう。

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